投資信託は、追加型タイプの投資信託であれば、原則としていつでも購入の申し込みが可能です。ただし投資信託によっては、申し込み不可日(海外市場の休業日など)がありますので事前の確認が必要です。
投資信託の購入は、対象ファンドを取り扱う銀行、証券会社、保険会社、信用金庫、郵便局などの販売会社に営業時間の午後3時(換金の受付時間は投資信託によって異なります)までに申し込み、申込時に購入代金(約定代金+手数料)を支払います。また、初めて投資信託を購入する場合は、その投資信託を販売している販売会社に口座を開設する手続きが必要になります。
投資信託の取引が成立した場合、販売会社から契約締結時交付書面「取引報告書」が投資家に送付されます。取引報告書には、購入したファンドの名称、取引数量、単価、約定金額(取引数量×単価)、手数料、消費税などが記載されていますので、しっかり確認しましょう。取引が成立した日(約定日)から3営業日目~6営業日目に売買代金を精算しますが(受渡日)、確定申告やNISA口座の非課税枠は約定日ではなく受渡日が基準になります。
なお、インターネット取引においては、2024年11月5日から東京証券取引所の取引時間が延伸されたことにより、日本の株式や不動産投資信託を主要投資対象とするファンドについては、購入申込の受付時間が午後3時30分まで延伸される場合があります。詳しくは販売金融機関にご確認ください。
投資信託は、原則としていつでも換金の申し込みが可能です。投資信託によっては、申し込み不可日(海外市場の休業日など)や、一定期間解約ができない「クローズド期間」を設けているものもありますので、事前の確認が必要です。
投資信託の換金は、投資信託を購入した販売会社に営業時間の午後3時(投資信託によって換金の受付時間が異なる場合があります)までに申し込みます。通常、換金代金は換金申込日(約定日)の第4営業日目以降に支払われます。受渡日は投資信託によって異なりますので、目論見書等でしっかり確認しましょう。
なお、インターネット取引においては、2024年11月5日から東京証券取引所の取引時間が延伸されたことにより、日本の株式や不動産投資信託を主要投資対象とするファンドについては、解約申込の受付時間が午後3時30分まで延伸される場合があります。詳しくは販売金融機関にご確認ください。
投資信託を活用するポイントは、資産運用の王道と言われる「長期投資」、「分散投資」、「積立投資」の3つです。小口資金で始められる投資信託は、長期的に積立投資を継続し、投資先を分散し、価格変動を抑制することで、安定した収益が期待されます。長期的な視点に立った資産運用では、高いリターンは不要であり、安定したリターンにより複利効果を発揮させることがポイントになります。
また、投資信託には分配金を受取る方法として、さまざまなタイプがあります。ご自身の資産運用が長期の資産形成を目的としたものか、あるいは所得充実(分配金受取り)を目的したものなのかにより、適した分配タイプも異なります。資産運用の目的にあった分配タイプを選ぶこともポイントとなります。
アセットアロケーションは日本語に訳すと「資産配分」のことです。投資家のリスク許容度や資産運用の目的に応じて、ポートフォリオ内の株式や債券などの金融資産の配分を調整しながら、リスクを抑えながら安定したリターンを目指す運用戦略です。資産運用において、アセットアロケーションの重要性は高く、「運用成果の8割以上はアセットアロケーションで決まる」と言われています。
アセットアロケーション(資産配分)の基本は、長期的な視点で世界経済の成長に合わせて資産が増えることが期待される「株式・不動産」を資産運用の中心(コア)に置き、これに安定した運用成績が期待される債券を組み合わせます。そして、投資家のリスク許容度に応じて、「株式・不動産」と「債券」の割合を調整します。
債券、特に国債や短期金融資産は、景気低迷期において運用成績を下支える効果が期待され、株式・不動産との組み合わせにより、リスク分散効果が期待されます。
コア・サテライト戦略は、運用資産を「守り」と「攻め」に明確に分割し、効率的に運用する運用戦略をいいます。運用資産の中心的な部分(コア部分)は長期かつ安定的に運用することで「守り」の姿勢を重視します。そして一部の資金(サテライト部分)で、投資タイミングを図りながら、高いリターンを求めて積極的に運用することで「攻め」の役割を果たします。
資産運用の基本は「守り」であり、コア・サテライト戦略は、ポートフォリオを構築するうえで「守りの資産」(コア部分)と「攻めの資産」(サテライト部分)を明確に分割することの重要性を説いています。
価格の安い時・高い時にかかわらず、投資信託などの運用商品を定期的に一定の金額ずつ購入する投資手法のことで、「定額購入法」とも呼ばれます。
価格が変動する投資信託などの運用商品は、価格が高いときに一気に購入すると、購入平均単価が高くなり、収益を上げるためには価格がさらに上昇しなければなりませんが、ドルコスト平均法では、価格が安い時は多く購入し、高い時は少量の購入となることから、結果として購入平均価格を低く抑えることができます。
NISA制度は、日本に住む18歳以上の方が利用できる少額投資非課税制度です。銀行や証券会社などの金融機関で、少額投資非課税口座(NISA口座)を開設して公募株式投資信託や上場株式等を購入すると、本来20.315%課税される売買益や配当・分配金等が非課税となります。イギリスのISA(Individual Savings Account)をモデルにした日本版ISAとして、NISA(ニーサ)という愛称がつけられました。
2024年より、年間投資枠の大幅拡大、非課税保有期間の無期限化など制度が大幅に拡充されています。つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能となり、資産運用の目的に照らして適したNISA制度を自由に選択することができるようになりました。
NISA口座は1人1口座、1つの金融機関でのみ開設することができますが、年ごとに金融機関を変更することも可能です。また、NISA口座にて損失が発生した場合には、特定口座や一般口座との損益通算、繰越控除ができないという特徴もあります。
なお、2023年までのNISA制度で投資した金融商品は、それまでの制度における非課税保有期間が終了すると課税口座に移され、2024年以降のNISA制度へのロールオーバーすることはできません。
成長投資枠とは、NISA制度における、非課税投資枠の一つです。2023年までの「一般NISA」を引継ぐ制度であり、投資した金融商品から得られる分配金や配当金、譲渡益といった利益が非課税となります。NISA口座を開設した金融機関においてのみ利用が可能となります。
成長投資枠の年間投資枠は、つみたて投資枠とは別枠で240万円、非課税保有限度額(生涯投資枠)は1,200万円までとなります。つみたて投資枠は、その名の通り積立投資用の枠となりますが、成長投資枠は、少しまとまった資金の投資や投資タイミングにより柔軟な投資に活用することができます。
また、成長投資枠が利用できる商品は、2023年までの「一般NISA」同様、上場株式や株式投資信託等が対象となり、安定的な資産形成にそぐわないとされる商品は一部除外されていますが、幅広い投資対象の中から選択することが可能です。教育資金や住宅資金などライフイベントに必要な資金の運用であれば、幅広い選択肢の中からリスクを抑えた商品を選択することもできますし、ある程度投資に慣れている方なら、投資タイミングにより、少しリスクが高いがリターンも期待できるような商品で運用することもできます。
運用目的の明確化やそれが実現できそうな投資商品をよく考え、活用することが重要で、まとまった資金を運用する方針となった場合には、成長投資枠の利用が望ましいといえるでしょう。
つみたて投資枠とは、NISA制度における、長期の資産形成を目的とした非課税投資枠のことをいいます。2023年までの「つみたてNISA」を引継ぐ制度であり、投資した金融商品から得られる分配金や配当金、譲渡益といった利益が非課税となります。NISA口座を開設した金融機関においてのみ利用が可能となります。
非課税保有限度額(生涯投資枠)は成長投資枠と合算して1,800万円までとなりますが、成長投資枠の上限は1,200万円であるため、非課税枠を有効活用するためには、つみたて投資枠の活用が必須となります。
つみたて投資枠が利用できる商品は、2023年までの「つみたてNISA」対象商品と同様に、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託と定められています。
子供の教育資金や老後資金の準備など、中長期的な目標に向けて、少額からのつみたて投資継続による資産形成を目指している方や、時間分散を図りリスクを抑えつつ長期投資の複利効果を得たい方には、つみたて投資枠の活用が向いています。収入に占める投資の割合を控えめにし、ライフイベントに支障がない範囲で余裕資金を投資にあてることが大切となります。
一方で、短中期の資金運用や、株式投資などつみたて投資枠が利用できない投資を行いたい場合は、成長投資枠の活用も検討しましょう。
新NISA制度の非課税保有限度額(生涯投資枠)の1,800万円は簿価残高(取得時の価額)で管理されます。したがって、例えば、100万円で投資信託を取得し、120万円に値上がりした場合、非課税枠の残りは1,680万円ではなく、1,700万円となります。
新NISA制度では、非課税保有限度額の再利用が可能で、例えば500万円で取得した投資信託を600万円で売却したケースでは500万円分の投資枠が復活し、翌年以降、再利用することができます。ただし、売却回数の制限はありませんが、非課税枠を再利用する場合であっても、利用できるのは売却した年の翌年以降で、年間非課税投資枠(上限)の360万円(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)も超えることができないので、注意が必要です。
また、成長投資枠の非課税保有限度額は1,200万円が上限となっていますが、この限度内であれば、つみたて投資枠の資産を売却したことにより復活した非課税枠を成長投資枠で再利用することができます。逆に成長投資枠の資産を売却した場合にはつみたて投資枠で再利用することができます。成長投資枠1,200万円、全体で1,800万円の範囲内にあれば、成長投資枠・つみたて投資枠の区別なく再利用することが可能です。
新NISA口座で得た分配金や売却益に税金はかかりませんし、確定申告をする必要はありません。反対に、売却損が発生した場合も確定申告の必要もなく、NISA口座で生じた損失はないものとして扱われます。
通常の株取引であれば、ある口座で損失が発生しても他方の口座の利益分と合算する制度(損益通算)や、大きな損失が発生した場合にはその後3年間の利益から損失分を控除できる制度(繰越控除)がありますが、NISAの非課税口座は特別に開設されるものであり、NISA以外で行う投資口座の利益や損失と合算することができないので、注意が必要です。
投資にはリスクがあり、元本割れとなる可能性もあります。したがって、投資は長期で運用することが基本であり、将来のライフイベントに支障がない範囲で余裕資金を投資にあてることが大切となります。また、教育資金やマイホームの準備資金を運用する場合には、支払いが必要となる期間に応じて、リスクを抑えた商品での運用を検討する必要があります。