ファンドの動きがベンチマークに連動する割合を示す数値のことで、「決定係数」ともいいます。
アールスクエア(決定係数)の数値が低いほどベンチマークから乖離しており、数値が高いほどベンチマークに連動していることを示します。アールスクウエアが1のときはファンドの値動きが完全にベンチマークに連動していることになります。
運用の意思決定の際、運用者の判断が入った積極的な運用のことをいいます。市場が非効率であり変化することを前提に、市場の価格形成の非合理性を収益機会とします。アクティブ運用が盛んになると、市場の効率性を高めることに繋がります。アクティブ運用では、情報収集や分析のコスト、優秀な人材の確保、売買費用などがかかるため、コストに見合う戦略、手法が求められるとともに、ベンチマーク(TOPIX、日経225など市場インデックス等)を上回る運用成果を目指します。
アクティブ運用には、個別企業の調査、分析に基づいて投資銘柄を選定する「ボトムアップ・アプローチ」や、景気・金利・為替などマクロ経済の分析により、好調な産業セクターを選び、その中から投資銘柄を選択する「トップダウン・アプローチ」などがあります。
英語表記の「Asset」(資産)と「Allocation」(配分)を組み合わせた言葉で、運用資金を「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」などの資産にどのような割合で投資するのかを決めることをいいます。古くから伝わる「財産三分法」も広義においてアセットアロケーションの一種です。
各資産間に完全な相関がない状況下では、資産の多様化には資産全体の期待収益の変動を抑える効果が期待されます。中長期的な運用ほどアセットアロケーションが重要とされますが、資産状況やリスク許容度、運用目的などにより、人それぞれで適切な配分が異なるため考慮が必要です。
投資対象となる資産の種類のことです。「資産クラス」とも呼ばれており、「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」「現金」などが伝統的な資産クラスになります。
近年では伝統的な資産クラスに加えて、不動産投資信託(REIT)や、金や原油などのコモディティ(商品)、ヘッジファンドなどの資産クラス(オルタナティブ資産)への投資も活発化しています。
投資信託の運用に際して、投資信託会社から運用の再委託を受けていたり、運用の助言(アドバイス)を提供する会社のことです。
ファンド全体に関するアドバイスの場合と、ファンドの投資対象の一部(資産、市場)に関するアドバイスを行う場合などがあります。
証券投資や資産運用の分野において高度な専門知識を有し、情報提供や投資助言サービスを提供する専門家のことです。
アナリストの所属するそれぞれの分野において専門化が進んでおり、証券アナリスト、ストラテジスト、投資アドバイザー、マーケット・アナリスト、クレジット・アナリストなど様々な呼称が用いられています。
証券市場全体の平均パフォーマンス(ベンチマーク)を上回る運用成果のことで、「超過収益」もしくは「アクティブリターン」とも呼ばれます。
アルファの大きさは、ファンドマネージャーの銘柄選択や売買タイミング戦略などの技量に左右されることから、ファンドマネージャーの真の運用能力を評価する指標とされます。
イールドカーブは「利回り曲線」とも呼ばれ、債券の残存期間と利回りの関係をグラフ化したもので、市場の先行き見通しによりその形状が変化します。通常は、残存期間が長くなるほど利回りは高くなり、イールドカーブは右上がりの曲線となりますが、景気が転換期を迎え、景気や金利見通しの不透明感が高まる場合には長期金利と短期金利の差が小さくなり、イールドカーブがフラット化する傾向があります。
債券同士の利回り格差や株式と債券の利回り格差のことで、それぞれの利回りを比較することで相対的な割高感・割安感を判断します。
債券同士の場合、一般的に信用力や流動性が高いとされる国債を基準とし、残存期間や信用度などから債券価格の相対的な割安・割高を判断します。また、債券と株式の場合は、長期国債の利回りから株式益利回り(1株利益÷株価)を差し引いて、イールドスプレッドの推移等から現在の株式相場が割高なのか割安なのかを判断します。
投資信託(ファンド)の運用の指図を行う会社のことで、「投資信託会社」、「投信会社」などとも呼ばれます。
投資信託では、投資信託会社が投資家(受益者)から資産の運用を委託され、受託銀行への指図を通じて、資金の実質的な運用を行っています。
投資信託の決算期毎の分配金を受取る方式をいいます。投資信託の分配金を受け取らず、同じファンドを無手数料で自動的に購入する方式は「累積投資コース」(累投コース)や「自動継続投資コース」といいます。
イデコ(iDeCo)は「個人型確定拠出年金」の愛称で、老後資金をつくるための私的年金制度です。個人型確定拠出年金の英語表記となる「individual-type Defined Contribution pension plan」の頭文字をとって名付けられました。
日本の年金制度は、1階部分にあたる「国民年金」が原則20歳以上の全国民の加入が義務付けられており、民間企業に勤める会社員や公務員には2階部分にあたる「厚生年金」があります。この1、2階部分は国が社会保障の一環として運営する「公的年金」に区分されます。
「確定拠出年金」は3階部分の「企業年金」(私的年金)を補完し、個人の老後資金を充実させる目的から2001年に導入されました。公的年金や従来の企業年金と違って、企業または個人が拠出した掛金を個人が自ら運用先を選択するのが特徴で、「確定拠出年金」のうち、個人で掛金を拠出する「個人型確定拠出年金」がiDeCoとなります。iDeCoでは国民年金の被保険者の種別に応じて、1年間に拠出できる掛金額の上限(拠出限度額)が定められています。
ヘッジファンドの運用戦略の一つで、企業の経営に重大な影響を与えるM&A(合併・買収)や業務提携、組織再編をはじめとした、重要な出来事(イベント)が発生した際に生じうる株価の変動を収益機会と捉えて投資する手法のことです。
イベント・ドリブン戦略では、イベントの前後で証券の評価に不一致が生じることを利用し、証券価格の動きを予想して取引を行います。例えば、代表的なイベント・ドリブン戦略であるM&Aアービトラージ(裁定)戦略では、M&Aで買収元企業が提示した価格(買収価格)と市場価格の乖離に着目し、買収先企業の株を買い持ち(ロング)して買収価格との差額を利益として得る一方で、買収資金の調達から財務状況が悪化する買収元企業の株を空売り(ショート)します。リスクが少ないとされる裁定取引ですが、敵対的買収や景気後退の影響などから買収が失敗に終わるケースもあり、損失を被るリスクもあります。
資産を保有していることで得られる収益のことです。例えば、株式の配当金や債券の受取利子、投資信託の収益分配金などのことを指します。
投資信託で得られる利益の一つが収益分配金(インカムゲイン)です。投資信託では決算日ごとに運用成果を集計し、ファンドの保有者(投資家)に対し収益分配金が支払われます。
インカムゲインに対し、保有する資産を売却することで得られる収益のことを「キャピタルゲイン」といいます。
株式や債券などの市場全体の動向を示す指標や指数のことです。投資対象となる株式や債券などの平均的なパフォーマンス(運用成績)を表わす基準となることから、投資信託(ファンド)の「ベンチマーク」として用いられます。
代表的なものに、日経平均株価、東証株価指数(TOPIX)、S&P500、MSCI-KOKUSAI指数などがあります。
運用目標とされるベンチマーク(日経平均株価やTOPIXなどの指標)に連動する運用成果を目指す運用手法のことで、パッシブ運用の代表的な運用手法になります。
日経平均株価やTOPIXなどの市場インデックスの構成銘柄を、構成比に合わせて全銘柄を組み入れる完全法や一部の銘柄を選択するサンプリング法により、市場インデックスに連動した運用成果を目指します。
日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの株価指数や債券の指数に、ファンドの基準価額が連動するような運用を目指すファンドのことで、「パッシブ・ファンド」と呼ばれることもあります。
インデックスファンドでは、組入銘柄をインデックスの構成比に合わせて組入れるので、銘柄選択のために大量の情報を収集する必要がなく、銘柄入替の頻度もファンドマネージャーが積極的に運用するアクティブファンドに比べて少なくなるので、ファンドの運用コストが安くなりますが、運用の目的がインデックスに対する連動であり、期待収益はインデックス次第になるといった特徴があります。
物価の継続的な上昇により、お金や金融商品の実質的価値(購買力)が低下してしまうことで、「インフレーション・リスク」と呼ぶこともあります。
固定金利の債券や定期預金などの金融商品がインフレリスクに弱い商品とされ、インフレ率(物価上昇率)が金融商品の利率より高い場合、運用しても購買力が低下することになります。一方で、物価上昇により見た目の売上高や利益が増える企業の株式や不動産・金などの実物資産がインフレに強い商品とされます。
世界的な物価上昇局面を迎えており、日本でもデフレ経済からの転換が始まっています。インフレ率の動向をチェックし、ご自身の資産運用戦略に役立てることが重要になります。
投資信託の購入や売却などの注文が約定(執行)され、決済を行う日のことです。購入の場合は代金の決済を行い、売却の場合は代金の受け取りを行うのが受渡日になります。
投資信託の注文が執行され、実際に受け渡しするまでにはタイムラグがあり、投資信託によって受渡日も異なります。
投資信託の販売手数料の徴収方式の一つで、投資信託を購入する際、申込み金額に手数料と手数料に対する消費税相当額が含まれている方式のことです。一般的に単位型投資信託で採用されています。
投資信託(ファンド)の運用の指図を行う会社のことで、「投資信託会社」、「投信会社」などとも呼ばれます。
投資信託では、投資信託会社が投資家(受益者)から資産の運用を委託され、受託銀行への指図を通じて、資金の実質的な運用を行っています。
投資信託の決算ごとに、投信会社が作成し、販売会社を通じて全ての投資家に交付する資料で、投資信託法によって交付が定められた法定開示資料です。
運用報告書は、運用期間中の運用成績、投資環境に対する見方、今後の運用方針、費用の明細等などの情報が記載されています。原則的に決算ごとに作成・配布されますが、決算期間が6カ月未満のファンドは6カ月ごとに発行されます。また、投資信託法の改正に伴い、2014年12月1日から、運用報告書は「交付運用報告書」と「運用報告書(全体版)」の二段階に分冊されています。
英国がEUから離脱すること、離脱したことを指します。2016年6月に実施された英国のEU離脱を問う国民投票が予想を覆して、離脱支持という衝撃的な結果となり、ボンドやユーロが暴落するなど外国為替市場や株式市場に激震が走りました。「Brexitショック」とも呼ばれます。
2020年に英国はEUを正式に離脱し、物流の混乱や労働力、金融業者の流出など大きな影響を及ぼしています。
2000年代に入り、急速に経済力をつけてきた発展途上国・地域をさす言葉として用いられます。特に注目されるエマージング市場として、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)、VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)といったグループがあげられています。
新興国株式ファンドの代表的なベンチマークである「MSCIエマージング市場」(MSCI Emerging Markets)は、新興国24か国(2023年9月末現在)の株式市場を対象とし、運用成績(パフォーマンス)を計測しています。
時価総額や流動性の大きい会社の株式のことで、日経平均採用銘柄の多くが該当します。
東京証券取引所では、時価総額(株価×発行済み株式数)と流動性が高い上位100銘柄を「大型株」と定義しています。(TOPIX 100)
機関投資家が投資対象としていることから情報が多く、流動性も高いことから、値動きも比較的安定しています。一方で、指数の値動きや海外市場などの外部環境の影響を受けやすい点、また、既に多くの投資家に注目され、成熟した企業も多いことから株価が大きく値上がりにくいといった点は、大型株のマイナス面の特徴となります。
発行者が証券の買い戻しを保証している投資信託のことで、投資家はいつでも自由に換金することができます。日本の公募投資信託、米国の「ミューチュアル・ファンド」は、多くの場合「オープンエンド型」となります。
一方、発行者が買い戻しを保証していない投信のことを「クローズドエンド型」といいます。
いつでも購入・換金ができる投資信託のことで、『追加型投資信託』ともいいます。
(『貸切バス』と『乗合いバス』にたとえると、オープン型投資信託はいつでも乗り降り(売り買い)ができる『乗合いバス』になります。)
過去の運用成績を確認し、パフォーマンスの優れたファンドを選択できたり、日々のファンドの値動きを見ながら、タイミングを見計って機動的に売買することで、売買差益を狙えるメリットがあります。
オプションとは、何かをする「権利」のことで、オプションを売買することをオプション取引といます。オプションには、主にコール・オプション(Call Option)とプット・オプション(Put Option)の2つのタイプがあります。コール・オプションは将来のある期日までに、ある特定の商品(原資産)をあらかじめ決められた価格(=権利行使価格)で買う権利であるのに対し、プット・オプションは将来のある期日までに、原資産をあらかじめ決められた価格(=権利行使価格)で売る権利となります。
オプションの売り手は、オプションプレミアムを得る一方で、買い手の権利に対する義務が発生します。オプションの買い手は、オプションプレミアム(≒保険料)を支払うことで、あらかじめ決められた価格で買う(売る)権利を取得し、原資産の値上がり(値下がり)による損失を回避することができます。
投資信託の中には、オプションの売りや買いを内在している商品も数多く開発販売されています。
株式や債券といった伝統的資産以外の新しい投資対象や投資手法のことをいいます。英語表記の「Alternative」(オルタナティブ)は直訳すると「代替」という意味があることから、「代替投資」と呼ばれることもあります。
オルタナティブ投資には、不動産(リート)、コモディティ(商品ファンド)、ヘッジファンドなどがあり、伝統的資産である株式や債券との相関性が低いことから、ポートフォリオに含めることにより、リスク分散効果が高いとされます。